プレイン・イングリッシュで必要な情報を伝える

プレイン・イングリッシュを使用する目的は、
オーディエンスと効果的なコミュニケーションをとることにあります。
効果的なコミュニケーションにより、オーディエンスから
こちらが求めているアクションを引き出したり、
メッセージの意図を理解してもらうことができるようになります。
プレイン・イングリッシュを使った分かりやすい表現を使う際には、
この目的を常に意識しましょう。

グローバル投資家にとっての大きな懸念は、形式に従っただけの
情報と現実的な情報を見分けることにあります。
代表的な例に、コーポレートガバナンスに関する情報開示を
挙げることができます。大手投資ファンドの投資基準は年々
上がってきており、独立役員や女性役員の数を書き出すだけでは
投資決定に影響を与えることはできません。
また、情報を開示することでガバナンスや取締役会の効果を
維持するという目的も果たすことはできません。

「取締役会の効果は、究極的には取締役会の活動、
そして取締役の行動によって決まります。その形態は関係ありません」
ピーター・クロー

大手投資ファンドの発言に注目することで、
プレイン・イングリッシュを使って「効果的に」対応する方法を
考えることができます。投資家の声を無視して、政府当局の規制などの
ルールに準拠するだけの対応は、付け焼刃的な対応であり、
意図しているオーディエンスである投資家に必要な情報を
届けることができません。また、投資家は投資判断を行う上で
必要な情報を得ることができません。

最後に、日本株式に大きく投資している
国際大手機関投資家の言葉を紹介します。

ブラックロック
「発表している長期戦略の実践を効果的に監督し、
経営陣をリードするために必要な実力や経験などを取締役会が
有しているかについての考えを開示するよう、
企業に働きかけています。適切な役員後継計画が存在しない場合、
独立した会長およびトップ独立役員、指名・ガバナンス委員会の
メンバー、任期が最長の役員などに対して反対投票を
する可能性があります。」

ステート・ストリート
「スキル、経験、独立役員のバランスが取れた取締役会は、
ガバナンスが優れた会社の基本となります。取締役会の質を
判断するにあたっては、独立役員の数や質、後継者計画、多様性、
評価や交代、企業のガバナンス活動などに基づいて判断しています。
(中略)取締役会はメンバーのスキルや経験を継続的に評価し、
取締役会としての能力を向上させていくために必要なスキルや
経験などのギャップを埋めていく必要があります。」

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◆ 参考・出典一覧
Ethical Boardroom 『Strengthening Boards』
https://ethicalboardroom.com/strengthening-boards

Business jargonについて – その2

前回に引き続きビジネスでよく使われるbusiness jargonを解説します。

・Move the needle
成長率などの測定値に目に見える影響を与えた場合に使います。
このフレーズでのneedle(針)は速度計の針のことで、
乗り物が加速すると動くことからこの表現が使われています。

・Onboarding
この言葉は造語で(発音は最初の音節を強調)、
80年代後半から90年代初頭に新入社員向けのオリエンテーションを
意味する言葉として作られました。

現在は、何か新しい関係性を始める際に必要な
あらゆるプロセスを意味する言葉として使用されています。

例:new-client onboarding processes
(新クライアント向けオンボーディングプロセス)、
onboarding routines for new vendors
(新ベンダー向けのオンボーディングルーティーン)。

・RIF (reduction in force)
解雇や人員削減を意味する言葉は多くありますが、
RIFは非常によく使われています。それ以外の同意語には、
downsizing、 redundancy、 position elimination、
separation from the payrollなどがあります。

・Right-size
人員削減を意味する動詞として使用されます。
例:right-size a company(企業の人員削減)、
right-size a department(部署の人員削減)など

・Synergize
Synergy(シナジー)はビジネスパーソンが好んで使う言葉です。
通常、一部だけよりも全体としての方が優れているという
意味で使われます。

・Upshot
結果を意味する言葉となります。
「The upshot of the meeting was that
Marvin stepped down and Juliette took his place.
(ミーティングの結果、マーヴィンが辞任してジュリエットが
そのポジションに就任します。)」

Business jargonについて – その1

日本人が英語を使ってビジネスを行う上で苦労するのは、
英語そのものというよりもbusiness jargonと呼ばれる専門用語では
ないでしょうか。コミュニケーションの障壁にもなり得るため
欧米でもjargonの使用は避けようという動きが高まっていますが、
よく使われるjargonについて2回に分けて紹介します。

・Bandwidth
許容量を示す言葉として使用されます。働きすぎで自分の
キャパシティを超えてしまった際などに、
「I don’t have the bandwidth to take on that project.
(このプロジェクトを担当する余裕はないよ。)」と表現します。

・Best-in-class
あるカテゴリーのなかで最高のものであることを
表現するために使用される決まり文句です。

・Core competency
人物、部門、企業においてもっとも中心的あるいは重要な能力を示します。

・Deck
Power Pointのスライドを指す言葉として
使用されます。「I’ll send you the deck.(デッキを送ります。)」
と言われたら、「パワーポイントのスライドを送るから確認してください」
という意味です。

・Deliverable
報告書やソフトウェアの導入などが、納品できる状態に
なったもののことを指します。

・Leverage
ここでは影響力や力を意味しています。語源となるlever(レバー)は、
小さな力で大きな石などを動かすためなど、パワーを
増幅するために使われるツールです。

・Low-hanging fruit
簡単に達成できるゴールを意味します。木の下の方に
実っている果物は、簡単に収穫することができることが由来です。