取締役、多様性への「注力疲れ」の傾向 多様性とESGが重視される傾向は変わらず

近年、多様性とESGに関する課題は投資家と取締役会の間で
重要課題として扱われてきました。PwCが行った調査によると、
取締役はその重要性を認めながらも、多様性やESGへの過度の
注力に疲れを見せていることがわかりました。その調査結果の
一部を紹介します。

多様性全体に関する見方は引き続きポジティブ
・取締役会の多様性が企業に新しい視点をもたらすと感じる(94%)
・取締役会の多様性が取締役会のパフォーマンスを向上させると感じる(87%)
・取締役会の多様性が投資家との関係を向上させると感じる(84%)
・取締役会の多様性が企業の業績を向上させると感じる(76%)

性別多様性と人種の多様性:過度の注力からの反動
・取締役の性別多様性は非常に重要である
(38%:昨年は46%)
・人種やエスニック多様性は非常に重要である
(26%:昨年は34%)
・投資家が性別多様性を重視しすぎていると感じる
(63%:昨年は35%)
・投資家が人種やエスニック多様性を重視しすぎていると感じる
(58%:昨年は33%)

ESGに関しても反動
ESGは、投資家が重視する課題となっており、2020年の
株主総会シーズンにおいても引き続き重要課題になると
考えられています。しかし、ESGに関しても、
高まるプレッシャーにより多くの役員に
反動が現れているようです。
・投資家が環境・持続可能性の課題を過度に
重視していると感じる(56%:昨年は29%)
・投資家がCSRを過度に重視していると感じる
(47%:昨年は29%)
専門家はこの原因について、本来議論するべき課題が
ESG関連のアクションを求める投資家の声に乗っ取られた
ように感じ始めているのではないかと指摘しています。
一方で、すでに社内で実施している取り組みをESGと
結びつけることができず、社内で混乱が生まれている
ケースもあり、より洗練されたコミュニケーション戦略の
必要性も指摘されています。
投資家とのエンゲージメントに関しては、
引き続きその重要性が広く認識されるようになってきています。

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◆ 参考・出典一覧
IR Magazine 2019年10月15日
『Directors tiring of diversity and ESG focus, survey finds』
https://www.irmagazine.com/esg/directors-tiring-diversity-and-esg-focus-survey-finds