IRの要、ステークホルダーマネジメントを理解する
組織の活動に関係のある個人やグループを正確に把握

ステークホルダーマネジメントは、IR活動の重要な構成要素です。皆様もよく耳にすることが多いのではないでしょうか。良いステークホルダーマネジメントとは、組織にとって重要な関係性を築き、維持することができるアプローチです。組織の活動に関係のある個人やグループを正確に把握し、その視点を理解し、積極的に関与していくことが求められます。

ステークホルダーマネジメントの第一歩が、ステークホルダーの特定とマッピングです。各ステークホルダーが受ける恩恵、影響や潜在的な影響を深く理解するためには、誰がステークホルダーなのかを知る必要があります。

ステークホルダーを特定する

ステークホルダーを特定する、代表的な方法を紹介します。

・ブレインストーミング
ブレインストーミングを行い、プロジェクトやビジネスが影響を与える可能性のあるすべての内部および外部のグループをリストアップします

・組織図のレビュー
組織構造を分析することで、組織内のステークホルダーを特定します。

・外部環境の調査
業界のトレンド、規制、社会風潮などを調査し、外部のステークホルダーを特定します。

・過去のプロジェクトの分析
過去のプロジェクトを分析し、繰り返し出現するステークホルダーグループを特定し、そのステークホルダーに与える影響を検討します。

・アンケートやインタビュー
特定のステークホルダーに対し、情報を収集するための直接的なアプローチを実施します。

・ソーシャルネットワーク分析
ステークホルダー間の関係性やつながりを可視化し、相互依存性を理解します。

・ステークホルダー分析ツールの活用
マトリックスやグリッドを利用し、関心や影響のレベルに基づいてステークホルダーを分類します。

マッピングで優先順位をつける

ステークホルダーを特定後、プロジェクトやビジネスターゲットに与える潜在的な影響や、ステークホルダーがもつ影響力に基づいて、ステークホルダーの優先順位付けを行います。これをマッピングと呼びます。例えば、短期的な株主の要求よりも、長期的な株主が求めている価値を優先する、といった意思決定もマッピングに基づいて行います。

続的なアップデート

ステークホルダーの特定やマッピングは、継続的なプロセスであり、プロジェクトの進捗やニーズの変化に応じて、定期的に更新する必要があります。

ステークホルダーマネジメント戦略を策定することは、ポジティブな関係を育み、プロジェクトの成功や長期的なビジネス目標の達成につながります。

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複数回にわたるPPT資料のご依頼方法について

決算資料の同時開示を行う場合、スケジュールを優先し、日本語作成と同時並行で翻訳作業を行い、更新版の差し替え入稿を複数回行うことがあります。この場合、前稿からの変更箇所、つまり差分の確認が非常に重要です。Wordは2ファイルを比較し容易に変更箇所の確認が可能ですが、PowerPoint(以後PPT)は2ファイル間の比較ができません。
弊社ではPPT資料の同時開示の場合、入稿は3回以内でスケジュールを組み、前稿からの変更箇所をお客様に明示していただいたうえでのご入稿を推奨しております。
そこで今回は、効率的なPPTのご依頼方法と作業範囲の指示方法についてご紹介します。

PPTご依頼方法

① 初稿は確定箇所のみ依頼
数字など変更が予想される箇所については「対象外」として、確定した部分のみを「対象」としてご依頼いただくのがスムーズです。

② 2稿以降もファイル全体を入稿する
変更があったスライドのみ入稿いただくと、対応する初稿のスライドとの確認作業が発生します。変更箇所のないスライドも含め、ファイル全体を入稿いただくことを推奨いたします。

作業範囲の指示方法

① ハイライトやオブジェクトで記載
変更箇所にハイライトをつけたり、「翻訳対象外」「追加」など大きく記載したオブジェクトを該当箇所に貼り付けていただくと、一目でわかりやすいです。

② コメントで指示
文字情報ではなく、レイアウトの変更や画像の差し替えがある場合は、コメントで指示いただくと、変更箇所がより明確になり、確認漏れも防ぐことができます。

上記のように、ご入稿のたびに作業範囲を明確に指示いただくことで、変更箇所の確認や追加翻訳を効率よく進めることができます。同時開示という限られた時間内でスムーズに翻訳を完成させるためのコツとして、ご参考にしていただけますと幸いです。

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株主総会における株主エンゲージメントのトレンド

参加方法の多様化

コロナ渦で一気に浸透したバーチャル株主総会ですが、パンデミックも終焉を迎え、対面での株主総会も復活しました。2024年の株主総会は、対面とハイブリッド(対面とオンラインの両方で参加できる形式)が混在し、完全オンラインの会議数はわずかでした。

専門家やステークホルダーは、ハイブリッド形式での株主総会を歓迎しています。対面のみでは、参加できる人が限定されてしまい、オンラインのみでは、企業が都合の悪い質問を避けたり、議論を打ち切ったりすることが容易になってしまう可能性が懸念されているからです。

定着しつつあるハイブリッド形式

対面とオンラインの両方で参加できるハイブリッド形式は、より多くの人が簡単に参加できます。そのため、株主や投資会社に好まれています。しかし、ハイブリッド形式を実現するためには、費用、技術的な問題、また、総会のスムーズな進行や運営に影響を与える可能性など、企業側には解決するべき懸念点があります。参加、投票、質問ができるようなインタラクティブなオンライン株主総会には多くの費用がかかります。

良いところ取りの「対面 + オンライン」

オーストラリアでは、完全なハイブリットには移行せず、株主総会自体は対面で行いつつ、オンラインからライブでの質問も受け付ける形も浸透してきています。対面株主総会の利点を生かし、より多くの人が参加できる機会を提供してバランスを取ろうとする試みです。
対面で参加した株主のみが正式な参加者としてカウントされるため、技術的な問題が総会の有効性に影響を与えたり、中止や延期が必要になったりする可能性が低くなります。そのため、ある程度ハイブリッドの懸念点を払拭することができます。

インターネットでの情報提供

株主総会の招集案内は封書やメールで送付されますが、オンラインにも公開されます。また、ビデオ配信や、会議の詳細に関する最新情報やリマインダーの提供などを行うことにより、対面で株主総会に参加できない株主も情報を得ることができます。

株主総会は、年に一度の形式的な集まりから、株主と企業がコミュニケーションをとる場として変化を遂げています。株主が積極的に参加し、意見を述べることができる場とするための努力が一層求められています。

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