気候変動に関する開示は部門を越えた協力が必須

▼ TCFDフレームワークの導入を推進
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英国FRC(財務報告評議会)は、企業は気候変動に関連する
報告について、より真剣に取り組む必要があると発表しました。
レポートでは、気候変動に関する情報開示を行う際に求められる点、
さらには、開示の改善に向けて企業が自問するべき内容を提示しています。

また、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の
フレームワークを使用することを推奨しています。TCFDは2017年に
ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの分野に関する
フレームワークを発表しています。

このレポートでは、企業がTCFDフレームワークを導入する際に、
自問すべき質問を紹介しています。例えば、指標と目標に関しては
「気候変動による影響を監視および管理するにあたり、
最も必要な情報は何ですか?また、これらの情報をどのように特定し、
どのように戦略やビジネスモデルに結び付けますか?」という質問を
自問することを推奨しています。

▼ 部門を越えたシナリオプラニング
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また、気候変動が自らのビジネスに与える長期的な影響を
理解するにあたり、IRが他部門と協力し、シナリオプラニングを
行うことの重要性が指摘されています。

シナリオプラニングを行うためには、将来に関する徹底した評価、
さまざまな気候シナリオにおける企業のキードライバーを特定する
必要があります。このような分析には、戦略、財務、リスク、
レポーティング、総務、持続可能性、IR、取締役会など、分野や
部門を越えて協力する必要があります。

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◆ 参考・出典一覧
https://www.irmagazine.com/reporting/companies-urged-game-climate-disclosure
『Companies urged to up game on climate disclosure』
IR Magazine(2019年10月23日)

ESG関連のコミュニケーションをアップグレードする

▼ 株主が求めているのは定量化
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IRマガジンが主催したESGインテグレーション・フォーラム
ヨーロッパでのインタビューで専門家が次のことを述べました。

・ESG 情報をリリースする企業は、企業の収益性とビジネスモデルの
持続可能性に結び付けることが求められている
・投資家にとって重要なことは、(企業が)取っている行動や、
ビジネスモデルに影響を与えているESG要因を定量化できること
・特定のビジネスモデルは20~30年後にはなくなっているかもしれない

▼ ESG情報を市場に配信する最善の方法とは?
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・企業が投資家にサステナビリティ情報を知らせるために
特定のESGロードショーを実施する必要はない
(通常のロードショーに統合することができる)
・株式投資家と債券投資家の両方が、ビジネスモデルに影響を与える
ESG要因をすべて認識できるようにする
・ESG情報を企業のウェブサイト上で開示する
(ウェブサイトは投資家が最初に見に行く場所)
・企業のサステナビリティプログラムに関して、取締役会と
投資家対応担当の経営幹部をループに入れておくことが重要

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◆ 参考・出典一覧
IR Magazine 2019年12月4日
『How to upgrade your ESG communications』
https://www.irmagazine.com/esg/how-upgrade-your-esg-communications

株主招集通知におけるESG開示、大幅に進化

専門家によると過去3年の間に、株主総会招集通知における
ESG開示は大きく進化してきました。
企業はESG関連のさまざまな課題に直面しており、
その重要度もさまざまです。
しかし、全体として株主総会招集通知におけるESGセクションは
毎年拡大しており、充実してきています。
株主総会招集通知におけるESG開示の進化の過程としては、
次のプロセスをたどっています。
1年目:「ESG課題に注目しています」
2年目:「これが私たちのESGゴールです」
3年目:「ゴールに対する進捗はこのようになります」

また、取締役会のリスク監視、役員採用、株主エンゲージメント、
取締役会評価、報酬設定などの取締役会プロセスの開示においても
進化が見られます。企業はこれらのプロセスや、その仕組み、
結果を開示するようになっているほか、開示にあたってビジュアルを
有効活用するようになってきています。
このようなことを行っている企業はほんの数年前までわずか数社でしたが、
今では実施している企業は数十社となっています。
そのほか顕著な傾向として、CEOからのあいさつだけに留まらず
独立役員または独立取締役会長からのあいさつを記載する企業が
増えてきています。さらには、事業戦略と役員報酬の関係の詳細を
開示したり、取締役を身近に感じてもらうために
取締役の写真や個人的な情報を掲載したりするなど、
ESG開示の進化は進んでいます。

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◆ 参考・出典一覧
IR Magazine 2019年10月8日
『Report highlights evolving ESG disclosure in proxy statements』
https://www.irmagazine.com/reporting/report-highlights-evolving-esg-disclosure-proxy-statements