複数回にわたるPPT資料のご依頼方法について

決算資料の同時開示を行う場合、スケジュールを優先し、日本語作成と同時並行で翻訳作業を行い、更新版の差し替え入稿を複数回行うことがあります。この場合、前稿からの変更箇所、つまり差分の確認が非常に重要です。Wordは2ファイルを比較し容易に変更箇所の確認が可能ですが、PowerPoint(以後PPT)は2ファイル間の比較ができません。
弊社ではPPT資料の同時開示の場合、入稿は3回以内でスケジュールを組み、前稿からの変更箇所をお客様に明示していただいたうえでのご入稿を推奨しております。
そこで今回は、効率的なPPTのご依頼方法と作業範囲の指示方法についてご紹介します。

PPTご依頼方法

① 初稿は確定箇所のみ依頼
数字など変更が予想される箇所については「対象外」として、確定した部分のみを「対象」としてご依頼いただくのがスムーズです。

② 2稿以降もファイル全体を入稿する
変更があったスライドのみ入稿いただくと、対応する初稿のスライドとの確認作業が発生します。変更箇所のないスライドも含め、ファイル全体を入稿いただくことを推奨いたします。

作業範囲の指示方法

① ハイライトやオブジェクトで記載
変更箇所にハイライトをつけたり、「翻訳対象外」「追加」など大きく記載したオブジェクトを該当箇所に貼り付けていただくと、一目でわかりやすいです。

② コメントで指示
文字情報ではなく、レイアウトの変更や画像の差し替えがある場合は、コメントで指示いただくと、変更箇所がより明確になり、確認漏れも防ぐことができます。

上記のように、ご入稿のたびに作業範囲を明確に指示いただくことで、変更箇所の確認や追加翻訳を効率よく進めることができます。同時開示という限られた時間内でスムーズに翻訳を完成させるためのコツとして、ご参考にしていただけますと幸いです。

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字幕翻訳とボイスオーバーについて

近年、動画を視聴して情報を得る人も多いのではないでしょうか。弊社でも、会社案内や説明会の動画配信などの字幕翻訳やボイスオーバーについて、多くのお問い合わせをいただいております。

そこで、今回は字幕翻訳とボイスオーバーについてポイントをお伝えします。

字幕翻訳について

通常の翻訳対応とは異なり、尺を合わせることが必要になります。字幕翻訳時は、1行に表示するテキストは、読点(、)が不要な程度の長さが望ましいでしょう。短めになるように調節し、読みやすく簡潔に翻訳します。限られた時間の中で一番大事な情報を伝えるために、直訳より意訳のほうが字幕翻訳に使われています。

尺合わせについて

1秒間に4文字を目安にできるだけ端的に訳出し、その後のボイスオーバー時に、動画内にきちんと音声が収まるように、尺合わせをしています。人間が視覚から得る情報量は、全体の約80%を占めるとされているため、いかに重要な情報を時間内に訳出するかがポイントになってきます。

話者の特徴について

オリジナルの動画が英語の場合、日本語では話者の特徴にも気を付ける必要があります。どのようなイメージや雰囲気にしたいのか事前に把握し、適任のナレーターが担当できるようにします。例えば、「○○だわ」と「○○なのだ」では、動画の印象も異なってきます。聞き手にとっては、語尾1つで印象が変わります。

上記のように、通常の翻訳とは異なり注意すべき点がありますが、適任の翻訳者で対応することで、品質の高い、字幕翻訳やボイスオーバーとなります。

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英文開示に関するFAQ
~東証プライム上場企業の英文開示義務化、いよいよ4月から開始

昨年12月からエイアンドピープルでは、英文開示義務化におけるあらゆるポイントについてメルマガを通じてお伝えしてまいりました。

弊社にも多くの東証プライム上場企業の英文開示担当者様から、日英同時開示に関するお問い合わせをいただいております。
今回はよくあるご質問についてお伝えいたします。

よくあるご質問1位:スケジュール

「他の会社はどのようなスケジュールで進めているのか?」「短納期で開示を進めるためのポイントは?」など、スケジュールに関するご質問が圧倒的に多いです。
こちらについては、過去のメルマガ記事をぜひご覧ください。

・翻訳スピードアップのポイント

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始 ~翻訳スピードアップのポイント~ – A&People メールマガジン

・進行管理のポイント

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始~効率的な進行管理のポイント~ – A&People メールマガジン

よくあるご質問2位:翻訳会社の選定基準

数ある翻訳会社から大切なIR資料の翻訳を依頼するには、何をどのように比較すべきか、単純に価格で決めてよいのか、確認すべきポイントは事前におさえておくべきでしょう。
品質、価格、スピード、専門性などあらゆる要素が含まれます。
基本的な項目は以下の記事をぜひご覧ください。

・質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ

東証プライム上場企業の英文開示義務化、いよいよ2025年4月から開始 – A&People メールマガジン

その上で、貴社の優先順位は何か。また、品質重視と言っても、原文に忠実な翻訳を希望するのか、それとも読み手にとってわかりやすい英文を希望するのか、そうした点も社内で議論した上で、翻訳会社を選定するとよいかと思います。

よくあるご質問3位:品質管理

「いざ翻訳を注文したところ、仕上がりが思っていたものと違った・・・。」「社内チェックにかなり時間がかかってしまい、結局スケジュールどおりに進めなかった。」そんなお話もよく耳にします。
英文開示の品質は、海外投資家とのコミュニケーションや企業価値に直結します。適切な品質管理プロセスを構築することが不可欠です。

品質管理の手法として、いくつか効果的なポイントがあります。
・トライアル翻訳などで翻訳会社の実力の事前確認
・翻訳の方向性のすり合わせ
・用語集、スタイルガイドの作成と定期的な更新
・海外投資家からのフィードバックの収集
・翻訳会社へのフィードバック
・内部チェック体制の構築

スピード面で英文同時開示が達成できても、品質向上は一朝一夕には達成できません。
しかし、上記のようなポイントをおさえ英文開示の質を向上させることで、海外投資家との信頼関係構築に大きく貢献することができます。
皆さまの英文開示実践に、本情報が少しでも役立ちますと幸いです。