個人投資家もESGに注目

▼ガバナンスや環境よりも社会的要素を重視
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近年、機関投資家の投資決定にESG要素が与える影響が大きく
なっていることに注目が集まっていますが、個人投資家もESGを
重視していることがAllianz Life Insurance Companyが
行った調査で報告されています。

調査では、投資判断を行う際に重視する要素について、
回答者が評価を行いました。その結果、個人投資家はガバナンスや
環境よりも社会的要素を重視する傾向があることが分かりました。
結果の一部を紹介します。

もっとも重視されたのが、社会(ESGのS)に関連する要素
・企業のサービスや製品が消費者の健康や幸福に与える影響(84%)
・職場の安全や従業員の労働環境(84%)

次に重視されたのが、ガバナンス(ESGのG)に関連する要素
・事業慣習と財務に関する透明性(81%)
・従業員の給料(80%)

環境(ESGのE)でもっとも高く評価された要素2点
・水保全や生物保全などの資源保全(76%)
・気候変動への影響に対して、企業が排出しているカーボンフット
プリント(69%)

▼課題はESG関連の情報開示
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ESG関連の投資において特に大きな課題となっているのが
次の3点となります。
・開示の対象となり得るデータ量が多すぎる
・数値化できない要素
・共通規格の欠如

▼投資「する」ことを後押しする
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個人投資家は、ESGプラクティスを「投資する」ための基準として
見ており、「投資しない」ための基準として見るケースは僅かです。
・投資を後押しする要素は11点:カーボンフットプリント、
チャリティ貢献、貧困撲滅への取り組み、従業員への給与など
・投資をさまたげる要素は2点:動物実験、政治献金

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◆参考・出典一覧
IR Magazine
『Retail investors eye ESG factors, survey finds』
https://www.irmagazine.com/shareholder-targeting-id/retail-investors-eye-esg-factors-survey-finds

ESG投資を行う機関投資家、過半数越えへ

BNP Paribas Securities Services社が、
347社の機関投資家(178社の資産運用会社と169社の
アセットオーナー)を対象とした調査を行ったところ、
ESG投資が増加していることが判明しました。

資産運用会社やアセットオーナーの過半数が、
国連の持続可能な開発目標に沿った投資を行うようになってきています。
投資額の25%以上でESG投資を行う機関投資家の割合は
次のように変化しました。

・今年:資産運用会社75%、アセットオーナー62%
・昨年:資産運用会社48%、アセットオーナー53%
・2021年までに、25%を超える資産をESG投資に割り当てると
回答した企業:90%
・今後5年において、ESGポートフォリオの投資成果が向上すると
考える回答者:60%

ESG要素を投資プロセスに組み込むにあたっての課題については
次のような回答がありました。

・ESGデータ
・ESGを統合するためのコスト 
・高度な分析スキルの欠如
・ESG投資であることを新しく表明することにまつわるリスク
・テクノロジー関連のコスト

専門家によると、投資家はESG投資をより重視するようになっており、
社会的意義と投資成績の両方を追及したいと考えています。

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◆参考・出典一覧
IR Magazine
『Asset managers align investments with UN Sustainable Development Goals』
https://www.irmagazine.com/esg/asset-managers-align-investments-un-sustainable-development-goals

ESG投資、米国より欧州で盛ん

投資運用業界におけるESGの浸透状況を理解するための調査を
Financial Analysts Journalが実施しました。その結果、ESG投資は
米国よりも欧州で盛んに行われていることが分かりました。
調査結果の概要を紹介します。

・米国の回答者75%が、投資決定を行う際にESG情報を活用

・欧州の回答者84%が、ポートフォリオ構築の際にESG情報を活用

・ESGを投資指標として導入しているのは、
 ESG情報が投資パフォーマンスにとって大きな影響を与えるため(63%)

・現在と将来のクライアントからの要求が、
 ESGを投資指標に採用している大きな外部要因

・倫理的な観点からESG指標を導入している欧州の回答者は41%、
 対して米国は19%

・ESG投資を行うにあたり、もっとも注力している点は
 株主とのエンゲージメント(欧州48%、米国は27%)

・ネガティブ・スクリーニング(ESGスコアの低い企業を
ポートフォリオから排除)を行うと答えた回答者が30%、
ポジティブ・スクリーニング(ESGに積極的に取り組んで
いる企業を選択)を行うと答えた回答者が13%

(注:ポジティブ・スクリーニングの方がネガティブ・
スクリーニングよりも詳細な分析とエンゲージメントが求められます)

・ESG投資プロセスの未来としては、ポジティブ・スクリーニングの
方が重要であるという回答が主流

ESGを採用していない投資家(18%)のうちの25%が、ESG指標を
採用しない理由として、重要な非財務情報を入手できないことを
挙げています。また、データ収集や分析に必要な膨大なコストも
ESG投資の障害となっています。

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◆参考・出典一覧
『ESG investing more popular in Europe than US, survey finds』
https://www.corporatesecretary.com/articles/esg/31319/esg-investing-more-popular-europe-us-survey-finds