注目度急上昇のトピック
近年、企業の開示において、人工知能(AI)とテクノロジー関連のリスクが急速に存在感を増しています。技術革新に伴う機会と脅威の両面について、投資家やステークホルダーの関心が非常に高まっていることを示しています。
アニュアルレポートでの言及が急増するAI
グローバルトップ企業が米国政府に提出するアニュアルレポート(10K)の開示トピックの中で、2020年から2024年にかけて最も劇的な成長を遂げたのがAIです。
特にマイクロソフト社、アルファベット社、メタ社、NVIDIA社といった大手テック企業は、AIや機械学習への言及を大幅に増やしています。注目すべきは、テスラ社、TSMC社、サウジアラムコ社といった非テクノロジー企業も、事業運営、リスク管理、そして顧客体験におけるAIの重要性に言及しています。
AIはもはやテック企業のみでなく、あらゆる産業に影響を与える話題となっています。
深まる懸念と求められる対策:サイバーセキュリティ
AIや機械学習の活用が広がるに伴い、避けて通れない重要課題として注目されているのがサイバーセキュリティとデータプライバシーです。
多くの企業が、リスクに言及するセクションを拡充し、サイバー脅威への対応やデータガバナンス体制の強化を報告しています。
テクノロジーのポジティブな側面(成長の機会)と、責任あるAIの利用やセキュリティリスクへの懸念(脅威)が、表裏一体の関係にあることを示しています。
投資家は、企業が成長機会をどう捉えているかだけでなく、サイバーセキュリティ、規制などの潜在的な脅威にどう対処しているかを総合的に理解したいと考えています。投資家向けコミュニケーションでは、攻め(テクノロジーの活用)と守り(リスク対策)のバランスを取った姿勢が求められます。


