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A&Peopleは、そうした素敵な方々と業務を通じて、助力となるべく連携させていただけることを誇りに思っています。

vol.17 金野 索一さま

一般財団法人・日本政策学校  代表理事

主義・主張を超えて異なる分野の人々が議論する場であり、あらゆる人が政策を学ぶ場

2011年11月に開校した、政治を志す人の学びの場「一般財団法人・日本政策学校」の 代表理事 金野さまに、学校創設のきっかけと特長をうかがいました。

「People」Vol.17は、一般財団法人・日本政策学校 代表理事の金野 索一さまのご紹介です。

日本政策学校の講師の方々は、一つの政党に偏らず様々な党派の政治家、ジャーナリストや哲学者の方々など、実に多彩です。また、受講生も経営者・会社員・医者・弁護士・地方議員・学生・主婦・ミュージシャンやタレント・フリーターの方々と多様です。どのような学校なのか、まずはその特長をお聞きしました。

                                             [取材者:浅井 満知子]

主義・主張を超えて異なる分野の人々が議論する場であり、あらゆる人が政策を学ぶ場

日本の政治は、政策が弱いので、立場の違う人同士で議論したり、意見の対立する人からも学ぶ場を提供します。
相手の主張の根拠を深く理解したうえで討議を重ね、お互いの論旨を磨きあう「議論(argument)」を身につけることを重視しています。
イデオロギーや陣営の垣根を越え、自分とは正反対の主義・主張を持つ専門家や受講生と論争を重ねながら、自身の政策論のブラッシュアップにつなげます。
今までの日本政治の議論の場や政治塾などは、同じ主義・主張の人々が集まり、違う立場の人を排除するという形が取られてきました。それでは、真の民主主義ではありません。
我々が実現したいのは、主義・主張・政党を超えお互いの政策を議論し、そこから改善策を導く力のある市民と政治家を輩出し、政界そして日本を変えていくことです。 

「主義・主張・政党を超えお互いの政策を議論し、日本を変えていきたい」

働きながら学べる学校

国会議員出身別一覧(衆議院)

講義は平日の夜と週末ですので、会社員の方はもちろん主婦や大学生の方でも今の立場のまま政治を学ぶことができます。
特に日本は、政治家と有権者が乖離しています。
現在、日本の政治家の三分の二が地方議員・政治家の秘書・公務員そして政党職員の出身です。そうした人々が日本のことを決定しているわけです。自ずと自分たちの政官主体のマインドでしか物事を考えられないのではないでしょうか?
この学校では、会社員や主婦、学生など生活者、市民の立場で政策を学んでもらい実際の生活に本当に有益な政治を考え、判断できる人材を育成します。
また、受講料も安価に設定しています。経営的には厳しいのですが志ある方々に門戸を開き、時間的制約や経済的理由で学ぶ機会を奪われることのないように配慮しています。対象は、年齢・学歴・職業・身分・国籍を問わない民主主義の学校です。一期生も18歳から60歳の年齢幅で職業も様々でした。

 

講師の方々も異なる主義・主張をもたれる方が揃っており、講義テーマも多岐に富んでいます。この中にはノーベル平和賞を受賞されたムハマド・ユヌス氏もいらっしゃいます。多くの著名な講師の方々が、政策学校の理念に賛同していらっしゃいます。

A&Peopleでは、講師のお一人アジア人初の米国下院議員ノーマン・Y・ミネタ氏の講義の際に、通訳を担当させていただきました。ノーマン・Y・ミネタ氏は第二次世界大戦中にワイオミング州の日系人収容所に収容され、その後、政治の道を志し、サンノゼ市長を経て商務長官(33代)、運輸長官(14代)を歴任された方です。
ミネタ様の講義ではアメリカ国内でのマイノリティーに対する差別と徹底的に戦われた逸話を通じて、政治家としてどんな重圧にも負けない信念を持って貫く強さと勇気を教授いただきました。素晴らしいお話に、会場内は歓喜の熱い空気に包まれ、私(浅井)も感銘を受けました。 著名な講師陣の方々のメッセージをダイレクトに聴講できるため、授業料とのコストパフォーマンスを考えると、とてもリーズナブルでパフォーマンスが高いと感じました。 

 

政治の道を志し、サンノゼ市長を経て商務長官(33代)、運輸長官(14代)を歴任されたノーマン・Y・ミネタ氏

2011年の3.11大震災を契機に(学校を作ろうとしたきっかけ)

あの時、日本は世界中から日本人の我慢強さや助け合う姿勢、倫理観の高さを称賛されました。それは、企業セクター・NPOセクターでの連携の素晴らしさでした。けれどもう一つのパブリック、つまり政治セクターでは機能不全で世界に恥をさらしてしまったわけです。
つまり、日本ではこの政治分野に人材がいっていないのです。日本にも多くの有能な人材がいることは世界中が認めているのですが、その人達は偏在してしまっていて、政治の分野にはいないのです。だからこの学校で政策を学んでもらい、政治の場に人材を送り出したいのです。当校はそのためのプラットフォームです。
3.11の震災をきっかけに、多くの人々が政治に対して主体者となり当事者意識を持つようになりました。原発問題をきっかけに傍観者では自分やその家族を守れないことがわかりました。経済面では、それなりに豊かだったものの、3.11後は政治家任せにできないことを多くの人々が実感したのです。


日本政策学校では、正反対の立場の人々とのコミュニケーション訓練の場を作ったり、受講生自身が関心の高い領域を選んで企画をし、幅広い分野での現場を視察したりしながら、今の日本には存在しない政策クリエーター(政策を立案・作る人)・政策ファシリテーター(多様な民意のための議論を促進する人)を育てていきます。
現在の日本は官僚主導で政治判断が行われています。真の民主主義を実現するにはこれにメスを入れ、あらゆる市民が情報を発信・共有していくことが必要です。
そのためには民間の公共政策のシンクタンクが必要です。欧米では既にこれを寄付で成り立たせ、膨大な量のリサーチを踏まえたうえでの政策案を作成する仕組みがありますが、日本にはまだありません。過去にもシンクタンク創設を試みましたが、資金が集まらず結果、実現できませんでした。今の官僚主導の仕組みにメスを入れるには、このシンクタンクを作る以外にありません。
そこで日本政策学校では、政策のSNSを構築します。ソーシャルメディアを利用して、日本中の集合知が、給料を払わずして集まるシンクタンクを目指します。このソーシャルシンクタンクという場で活躍できる政策クリエーターや政策ファシリテーターを育てるわけです。

民主主義への意識とグローバルな視点の原点とは

幼いころは親の仕事の関係で、東京に住んだり、北海道・十勝や岩手県の自然の中など、様々な環境で過ごしました。また高校の先輩でもある宮沢賢治の宇宙的な考えに惹かれてました。

東京の大学を卒業後、アメリカのコロンビア大学大学院に留学しました。
ニューヨークのコロンビア大学を選んだのは映画『いちご白書』とジョン・レノン、ビリー・ジョエルの音楽の影響があったからです。ニューヨークには国連があるため、世界中から著名な政治家やVIPが集まり、コロンビア大学で講演していくということが多いのですが、私もそれに漏れることなく多くの世界的有識者の話を聞く機会に恵まれました。

そういった都心と地方、東京とニューヨークといった異なる環境、風土、文化、人々との触れ合いがあって、グローバルな視野が育まれたのですね。 宮沢賢治やジョン・レノンのお話をする際の優しい目の奥にはロマンチストの金野様が見え隠れしておりました。
最後に金野様の夢を聞かせていただきました。

究極は、真の民主主義が機能する社会を実現し、この日本政策学校を必要としない日本にすることが理想です。 主義・主張を超えて皆が議論し、有権者と政治が透明化・双方向化された民主主義が理想ですね。それが5年後にはできるようにします。 また、極論を言えば、戦争と貧困のない世界にすることです。それは戦後100年の2045年には実現したいと思います。

しっかりとした時間軸を持ち、明確な目標を掲示いただきました。 それについても具体的にお話を伺いたかったのですが、時間の関係上インタビューは終了となりました。ぜひ、ご興味のある方は下記のサイトを参照ください。 また、政治家を目指さずとも興味のある方は日本政策学校の門をたたいてみてはいかがでしょうか。
お忙しいお時間を割いていただき、ありがとうございました。
 

日本政策学校  http://j-policy.org/