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A&Peopleは、そうした素敵な方々と業務を通じて、助力となるべく連携させていただけることを誇りに思っています。

vol.32 矢崎 潤子さま

株式会社オフィスノベンタ 代表取締役 クリエイティブプロデューサー&ライター

宣伝ではなく「企業の姿勢」を伝える

オフィスノベンタの代表取締役として企業のPR誌を制作されている矢崎さまにお話をうかがいました。ハキハキとしていながらも、常に丁寧でこだわりをもってお仕事をされている矢崎さまに、オフィスノベンタの「アメーバ型」チーム、社長として、またライターとしての矜持などについてうかがいました。

「People」第32回目は、オフィスノベンタの代表取締役として企業のPR誌を制作されている矢崎さまにお話をうかがいました。A&Peopleでは、10年以上にわたり制作物の翻訳のお手伝いさせていただいています。
ハキハキとしていながらも、常に丁寧でこだわりをもってお仕事をされている矢崎さまに、オフィスノベンタの「アメーバ型」チーム、社長として、またライターとしての矜持などについてうかがいました。

[取材者:佐野 信子]

宣伝ではなく「企業の姿勢」を伝える
PR誌の制作を通じて、企業のブランディングをサポート

オフィスノベンタの事業について、簡単にご説明ください。

弊社は、主に企業のPR誌やポスター、パンフレットなどの紙媒体を制作する編集プロダクションです。PR誌といっても、商品そのものを紹介する「宣伝」とは違い、企業の姿勢や社会に対する貢献について、トップの考えをわかりやすく伝える広報という位置付けです。つまり、ライティングや冊子制作を通じて、企業のブランディングのお手伝いをすることが弊社の役割と考えています。顧客企業にとってブレーンのようなポジションにいて、この時代にどうやって進んでいったらいいのか、さまざまな形でご提案するサポート役でありたいと思っています。

制作において、どのような点にこだわっていらっしゃいますか?

「いい仕事をしていれば、必ず仕事は来る」という姿勢です。企画から読者の手元に届くまで、細かく丁寧に仕事をしたいですし、そうして作った冊子は次の冊子を生むと考えています。
また、手がけている企業も冊子も多種多様なので、顧客のニーズやキャラクターに合わせて、その都度チームを作って動いています。決まった形がなく流動的なので、私は「アメーバ型」と呼んでいるのですが、このほうが物事が進めやすいし、仕事の質も高くなるんです。「私の目の届く範囲で確実な仕事を」と思っているので、社員スタッフの人数は最低限。チームに加わっていただくフリーランスには「面白くなければやらない」という方が多くて、そういうメンバーのやる気がチームの原動力になっています。

仕事を通じて人を育て、女性が活躍できる仕事場をつくるのが私の使命

専業主婦からライターに転身されたそうですね。

もともと表現することが好きで、短大時代に劇団四季の研究生のオーディションに受かって、演技部に入りました。その後、結婚と出産を経て27歳で離婚したときに、自分に何ができるかを考えたんです。教育者だった母が、幼い頃から本を与えてくれて、劇団では国内・外の文学全集の読破が課題でした。その影響か唯一の自分の特技といえば、文章を書くことかなと思って、サンケイリビング新聞社の主婦レポーター第一期生に応募しました。それがこの世界に飛び込んだきっかけです。
その後友達の誘いがあって、マガジンハウスでディレクター&ライターの仕事をしてきました。企画、撮影ロケ、編集、執筆……と、大勢のスタッフで一から雑誌を作っていく仕事です。楽しかったですね。どの段階の仕事もぜんぶおろそかにせず丁寧にする、という姿勢をここでたたき込まれました。

編集プロダクションを立ち上げたきっかけを教えてください。

子育て中だったことが大きいですね。一般企業でも、子育てをする母親への支援環境が整っていない時代でしたし、子どもがまだ小さかったので自分の周りに置いて仕事をできたらいいなと思ったんです。会社を立ち上げてから、そういう働き方がいかにありがたいかを実感しました。今も、女性が働きやすい環境の提供を意識しています。

だから、御社では多くの女性のスタッフが活躍されているのですね。

社員スタッフはすべて女性です。子どものいる社員は、よく仕事場に子どもを連れて来ますよ。女性誌の世界での経験からいうと、素直で真面目で、好奇心が旺盛な今の女性は、編集という仕事に向いているんです。PR誌の仕事でも、女性の視点での切り口が、大きく役に立っていると感じています。

企業のトップとして意識されていること、実践されていることはありますか?

現場を総括するプロデューサーとして、ライターやカメラマン、デザイナーなど、スタッフ全員の能力を引き出すようにしています。そうした能力を一つにまとめて、よいものを作り上げるのが私の役割ですから。
それと、社長という立場になって「若い人を一人前の仕事ができるまで育てる」という意識が強くなりました。新入社員にはまず、私がこれまでに培ってきたノウハウを惜しげなく注ぎます。できるだけ早く吸収してもらいたいので、普通なら数年かかる内容を1年ほどで。そして「育ったらいつ独立してもいい」とも言っています。

自分を真っ白にして相手の色をもらい、いいものを作りたいという熱意を伝える

お仕事柄、さまざまな方からお話を聞く機会が多いと思います。特に心がけていらっしゃることはありますか?

ライターの仕事でいつも心がけているのは、自分を真っ白にすること。取材先では、素直な気持ちで相手に向かい、こちらが相手の「色」をもらうことが大切です。感覚を研ぎすまし、相手のいいところをきちんとキャッチできるかどうかで、文章の表現がまったく違ってきますから。
真剣に人に向き合う中で、鋭い意見を言うこともあります。若い社員も同じで、たとえ相手が会社の社長さんであっても、ストレートに突っ込んでお話を聞くので、秘書の方から「ノベンタのみなさんは、はっきり物を言いますね」と言われることも。それも、いいものを作りたいという熱意の表れだと思っています。

慌ただしい毎日だと思いますが、プライベートタイムはどのように過ごされているのでしょうか。

会社を立ち上げてからは、プライベートと仕事を分けて考えたことはないですね。24時間、いつも仕事のことが頭にあります(笑)。でも、仕事が楽しいんです。楽しい仕事で人生を終えたいと思っているので、幸せ者だと思っています。
ただ、この職種の特権で、声を掛けられて「何かの役にたつかも」と思えば、即断して旅行に出かけることがあります。この間も友達に誘われて「今だから格安」という超豪華客船のクルージングに行ってきたんです。最近は、故郷に貢献したいという気持ちも出てきて、町おこしの仕事にも関わっているのですが、海外のクルージングからいろいろなアイデアが得られました。

最後に、A&Peopleへのご意見・ご要望などがありましたら。

お仕事が丁寧で、きちんとしているので、いつもありがたいと思っています。見積もりや契約書などの書類だけでなく、仕事の進め方や担当者間の連携などもテキパキしているなと感じています。しかも、そういう流れが外からもよく見えるので、安心してお仕事を頼めます。それでいて、決して四角四面ではなく、融通が利いて、こちらの求めにも柔軟に応じていただける。会社というのはこうでなくちゃ、と私自身とても勉強になっています。

オフィスノベンタの殿井悠子さんによる世界の介護事情の取材記事が、小学館ウェブサイト「介護ポストセブン」に、掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。