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vol.21 吉田 優治さま

千葉商科大学 サービス創造学部 学部長

多くの企業と協力して今までにない大学教育に力を注ぎ挑戦されている「サービス創造学部」

弊社代表浅井の大学時代の恩師であると共に、A&Peopleにはこれまでに研究論文の翻訳や通訳業務のお手伝いをさせていただいている吉田教授にサービス創造学部についてうかがいました。

「People」VOL.21は、千葉商科大学 サービス創造学部 学部長 吉田優治教授にお話をうかがいました。
吉田教授は、弊社代表浅井の大学時代の恩師であると共に、A&Peopleにはこれまでに研究論文の翻訳や通訳業務のお手伝いをさせていただいております。

                                             [取材者:伊藤 祐子]

「新しい教育を創造する」をモットーにこれからの日本、世界で求められる人材育成に、
多くの企業と協力して今までにない大学教育に力を注ぎ挑戦されている「サービス創造学部」

まずは、どんな学部で、どのような教育をされているのかお聞かせください。

日本のGDPの約7割がサービス産業ですが、サービスについての本格的な教育や研究がほとんどありません。
海外のサービスに関する学問は、主にサービスサイエンス分野で生産性の研究が中心でした。どうやってサービスを創造するかという学問は日本にも海外にもありませんでした。
本学部では、教育方法で差別化しようと考えました。「学問から学ぶ」、「企業から学ぶ」、「活動から学ぶ」という3つの学びを通じてサービス業界にとどまらず、心地よさ、快適さ、安心安全、利便さなどを提供するすべての産業、企業、仕事におけるサービス創造のマインドや体系的知識を教授したいと考えています。ここで学び、現場を知り、管理者や監督者になり、いつかは経営者になる人材を育てるために、様々な機会を提供しています。

新しい価値を企業から学ぶ

公式サポーター企業54社とは・・・

どうしたらサービスの研究ができるか?と考え、企業から学ばせてもらおうという発想から、“公式サポーター企業”ができました。こちらが思い描いたほとんどの企業が賛同してくれました。

これだけの企業と提携されるのはご苦労も多かったのではないですか?

1社1社全部私が回りました。“新しい教育モデルを一緒に作りましょう。日本の教育を変えましょう。エリートでなくてもいいから、ボリュームゾーンの学生を一緒に教育して、今後の日本のサービス産業の一翼を担う人材を育てましょう”と熱く語って回りました。

 

具体的に“公式サポーター企業”の方々はどのようなことをされているのですか

① 年間120名位の方々にゲストスピーカーとしてレクチャーをお願いしています。学生達には大変刺激的です。学部オフィス前に登壇いただいた方々の写真を掲示させてもらっているので、学生は卒業するまで講演者、内容を思い出すことができます。
② インターンシップもさせてもらっています。
③ 「活動から学ぶ」として、例えば旅行会社様、航空会社様と組んで旅行プロジェクトを作ったり、ホテル部門ではウェディングファッションショーを企画、開催したり、その他にも、千葉ロッテプロジェクト、千葉ジェッツ・プロジェクトなどなど、新しいアイデアを出して、それを実現させるための行動力を身につけられるようなことをやっています。

特命教授はどんな方々ですか??

みなさんご存知の方ばかりです。デザイナーの桂由美様には先ほどのウェディングファッションショーを指導していただきます。加賀電子の塚本勲様は24歳の時に秋葉原で2坪の店から起業し、今や大企業オーナーで、ビジネスの神髄を学ばせていただいております。“築地銀だこ”の佐瀬守男様からは、飲食業における真のおもてなしを学ばせていただいています。荒木重雄様は、“侍ジャパン”の事業戦略担当の方です。先ほどの“千葉ロッテプロジェクト”などを通じてプロスポーツを学ばせてもらっています。“ぴあ”の木本敬巳様からは、本物のエンターテインメントを学ばせてもらっています。
公式サポーター企業や特命教授の方々からたくさんのことを学べるので、学生にとっては毎日が楽しく、他の学部に比べても笑顔があふれ、元気な感じです。
私にも大学生の息子が二人いますが、息子たちも、「父さんの学校は学生が本当に楽しそうだね。ブログにも笑顔があふれているね。」とうらやましがられます。

就職はいかがですか?サポーター企業に就職する学生もいますか

親御さんからもよく聞かれますが、サポーター企業にこちらから頼むことはありません。サポーター企業に就職する学生もいます。就職率は、99.3%です。この数字は素晴らしいと自負しています。
学生は200名ほどですから、一人一人にきめ細かい指導ができていると実感しています。なかには手のかかる学生もいますが、教員みんなで育てます。その結果、学生が就職できた時などは、本当に嬉しいですね。

人と違うことを学び経験し、人と違った発想する教育

教育に対する想いをお聞かせください。

私の持論ですが・・・今の多くの高等学校は、大学に入るための教育を中心にしているように思えます。いかに偏差値の高い大学にいかに多くの生徒を進学させることができるか、それが目的になってしまっていると感じます。偏差値という数字に教師も親もそして生徒自身も踊らされてしまっています。日本の高度成長期から続いている、人と同じことを学び、経験し、同じ答えを出す、言われたことを正確にやる人材を育成する大量生産する時代は終わったはずです。これからは、人と違うことを学び経験し、人と違った発想ができること、そして、意見の違う人といかにして自分独自の発想を実現していくか、そういった力を持った人間を教育現場で育てていくことが求められているように思います。教育の在り方を見直すことが必要だと思っています。

サービス創造学部を支える3つのキーワード。

アメリカで過ごした時にもお感じになりましたか?

そうですね。フロリダとボストンで2年間過ごしました。息子たちが通った幼稚園では、自分で考えてやりたいことをやりたいようにやる。また小学校では教科書がありませんでした。知識を授けるのではなく、発想をしたり、人に伝えること、協働することが重視されました。そんな息子たちも日本に帰ると、塾に通わせました。アメリカ人の友人には呆れられましたね。夜遅くまで小さな子が一斉に同じことを学んでいる。「日本は大丈夫か?」と。その時にも、日本の教育を変えたいと強く思いました。

今後の計画などはありますか?

来春オープンのThe University Dining(新学食)、そして来秋オープンのThe University HUBの総合プロデューサーをしています。Diningには、世界一おいしい朝食「bills」を経営するTransit General Office Incにキッチンやインテリアを担当してもらっています。ベーカリー&コーヒーショップにはあの「自由が丘ベイクショップ」をオープンさせます。そして、DJ界No.1人気の大沢伸一さんに音楽プロデューサーになってもらいDJブースを作ります。大学がオフィシャルDJを育成して認定し、朝・昼・夜に適した音楽を流します。ワクワクするでしょ。
また、HUBでは5階に“ぴあ”と連携してLive House、1FにPizza Cafe、そして地下にはDance Studioをつくり、チアリーダーの活躍の場を広げます。また、2Fにはホテル、3F、4FにはSOHOスペースをつくります。4FのSOHOには伸び盛りの企業に入ってもらい学生に起業プログラムや実際の企業経営などを教えてもらいます。これらすべての部門のマネジメントを学生の教育の場にしたいと考えています。

お話の中で弊社にも貴重なアドバイスをいただきました。

今後日本には年間2,000万人の観光客がきます。これは大きなビジネスチャンスです。そういった中、英語でも中国語でももっと簡単にというか気軽に一般の人でも使える翻訳や通訳のサービスがあるといいと思います。例えば電話の開通のようなちょっと大変な内容のコミュニケーションのサポートがあるといいと思います。今はまだ、企業相手で、専門的かつ高度な翻訳が多いと思いますが。

では、最後に先生のリフレッシュ法や休日の過ごし方などをお聞かせください。 

最近家の中にバーを作ったんです。空間デザインを勉強している長男が改装しました。そこで、レコードを流して仲間や家族といる時が一番幸せな時間かな。
土日も忙しいけれど、日帰りで家内と温泉に行ったりします。温泉施設の中でマッサージしてもらってる時も至福ですね。
今、大学のリノベーションをやっているので、家内や息子たちとあちこちのおしゃれなお店に視察に行くけど、そういう時間もすごく楽しいですね。家族と一緒の時がやっぱり最高に幸せでリラックスできるな。

お酒が大好きとのことの吉田先生。学部長室にも素敵なワイングラスがありました。ここで、企業の方や時には学生とも一緒に飲まれるとか。
インタビュー全体を通して、ご家族大変仲が良い様子も羨ましくなりました。教育に熱い信念を持ち、素晴らしい学びの場を「創造」され続けている吉田先生のお話をお伺いし、仕事に対しての姿勢を考える大変貴重な時間となりました。
ありがとうございました。

千葉商科大学  http://www.cuc.ac.jp/