「普通」の人はどんな投資をしている?!
人口の1/4が投資をするオーストラリアの素顔

人口の1/4が投資をするオーストラリアの素顔

オーストラリアでは、人口2,720万人のうち、770万人*が上場企業へ投資しているといわれ、世界でも高い投資参加率を誇ります。個人投資口座を持つ人の平均年齢は47歳、男女比は 男性58%に対し女性42%です。
(*オーストラリアで義務付けられている確定拠出年金口座を通じた投資は含まれていません)
投資が特別なことではないオーストラリアでは、どのような人が投資を行い、どのような情報を活用しているのでしょうか。

ベビーブーマーは国内企業に投資する傾向

ベビーブーマー世代は自国株へ多く投資しており、ポートフォリオの最大87%を国内株 に投資しています。
若い世代では海外企業への投資も一般的になっています。25歳未満の層では、かつては国内企業と海外企業の投資比率が3対1でしたが、今では1対1に近づいています。国内企業に投資することは「面白味がない」と考えているようです。
若者を含め、一般の投資参加者に興味をもってもらうために、企業としてのストーリーや、プロジェクトの意義やグローバルトレンドとのつながりを押し出すことが大切であると指摘されています。

31%がESGを投資判断に活用

環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視する個人投資家も引き続き増えています。全体の 約30%が意思決定にESGを活用しており、特にミレニアル世代やZ世代に、ESGを重視する傾向が強く見られます。
ここでも、財務情報だけでなく、非財務情報を伝える必要性が数字に表れているといえます。

家族や友人、ソーシャルメディアも重要な情報源

投資判断に用いる情報源は世代や性別で異なります。初めて投資する人や女性は、オンラインや公式の情報よりも、家族や友人からの情報を活用する傾向にあります。
若い投資家には、90秒未満の短い動画が最も効果的であるとされています。長いPDFではなく、ひとつの動画でひとつの情報を提供するスタイルが推奨されます。
若者はInstagram、TikTok、YouTube、LinkedIn を暇つぶしのみならず、金融情報の取得などにも活用しています。明快なデザインやわかりやすいビジュアルも企業への信頼を高めるために重要になります。

日本でも今後個人で投資をする人口が増えることが予測されます。機関投資家や大きな投資をする個人投資家ではない、「普通」の人が投資をする際の素顔を少し垣間見ることができたのではないでしょうか。

参照)https://investability.com.au/unpacking-investor-trends/

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取締役会の多様性が投資家からの信頼につながる理由

ステークホルダーの多様性を反映した取締役会

取締役会の多様性は、企業の評判や投資家の信頼に大きな影響を与えると言われています。今回は基本に立ち戻り、取締役の多様性が企業にとってどのように有益なのかを振り返っていきます。

企業に求められているのは、ステークホルダーの多様性を反映した取締役会です。例えば、女性の顧客が多い企業では、女性の役員が多い方がステークホルダーからの信頼が向上します。また、異なる背景、経験、視点を持つメンバーが集まることで、意思決定の質が向上し、リスク管理を強化し、より包括的な企業文化を育むことができると言われています。

多様性によって向上する5つの分野

  • 意思決定の質: 多様性があるということは、あらゆる視点の見方が存在し、多様な意見が交換されることです 。異なる背景を持つ人々が協力することで、集団思考に陥りにくくなり、当たり前を疑い、変化の激しい時代に必要な意思決定が実現します。
  • リスク管理:均一なグループでは見落としがちなリスクを特定し、軽減することにつながります。ステークホルダーの多様性を反映した取締役会は、ステークホルダーに関連する課題を予測し、対策を講じることができます。
  • 企業イメージ:投資家をはじめステークホルダーは、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンにコミットする企業を重視しています。異なる視点を受け入れ、多様な労働力を重視・尊重していることを強く示します。
  • イノベーション:異なる背景を持つ人々が一緒に働くことで、新しいアイデアを生み出し、現状を変える可能性が高まります。これにより、多様な顧客のニーズに応える革新的な製品やサービスが生まれることがあります。
  • 多様な労働力の確保:多様な取締役会は、組織全体に対して「多様性が重視され、尊重されている」という強いメッセージを送ります。あらゆる背景を持つ従業員が尊重され、より多様な労働力を魅了することができます。これは労働力不足が予測されている時代にとって非常に大切です。

このように、取締役会の多様性を向上させることは、多様で競争の激しいビジネス環境での成長、そして成功のための重要な足場となります。多様性を促進するための具体的な措置を講じることや、多様性に関するトレーニングの提供、すでにステークホルダーの多様性を反映した取締役会である場合はその旨をしっかりとアピールすることが重要です。

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米国トレンド:IRイベント
大規模カンファレンスからターゲットを絞ったコミュニケーションへ

米国で行われるIRカンファレンスへの参加は、米国企業そして海外企業にとっても、投資家との重要なつながりを築く重要な場とされています。そんな中、生まれている変化が注目されています。従来の大規模カンファレンスから、より深い関係を築く小規模かつ能動的なイベントを重視する傾向です。

今日の投資家は、単なる財務データや派手なプレゼンテーションだけではなく、企業文化や価値観、経営実態も投資判断に取り入れています。大規模なカンファレンスではこのような情報は伝えにくく、またターゲットを絞ったコミュニケーションも難しくなっています。

今回は、より深い関係を築くために効果的なIR活動を行う上で注目されているアプローチを紹介します。

カンファレンスの厳選

  • すべてのIRカンファレンスに参加するのではなく、具体的な目標や投資家のニーズに基づいて参加を選択します。
  • 主要な投資家ターゲットや関心のある分野に焦点を当てます。

ノンディール・ロードショーの実施

  • 特定のトピックに焦点を絞った小規模な集まりを通じて、ターゲットを絞ったディスカッションを提供します。
  • 関連性の高いトピックでの会話を通じて、有益なつながりを築きます。

企業全体の紹介

  • 取締役会とのミーティングだけにとどまらず、本社や事業拠点の見学や投資家訪問を行います。
  • 企業文化や事業運営、ESG原則へのコミットメントを直接感じさせることで、投資家に有益な印象を与えます。

エンゲージメント戦略との組み合わせ

  • 一つのアプローチではなく、自社の投資家の嗜好や目的に合わせてさまざまなイベントを組み合わせます。
  • バーチャル・ミーティングやウェビナー、少人数のグループ・ミーティングを大規模な対面イベントと組み合わせて活用します。

メッセージとアプローチの調整

  • 同じプレゼンテーションを繰り返すのではなく、オーディエンスやイベントのテーマに沿ってメッセージやアプローチを調整します。
  • ターゲットとなる投資家をリサーチし、彼らの関心や懸念に対応します。

自社の可能性を理解する投資家との関係を築く

投資家とのつながりを量的なものではなく、質的なものとして捉え、パーソナライズした情報提供やコミュニケーションが求められています。戦略的で的を絞ったアプローチを通じて、長期的な関係を築くことが重要です。