プレイン・イングリッシュを活用して価値を生み出す

▼プレイン・イングリッシュを通じた価値創造
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先月のブログ記事で予告したとおり、企業の価値創造プロセスに
おいてプレイン・イングリッシュをバリュードライバーとして
活用する方法をご紹介します。

ここでの「価値」は、企業の利益向上で得られる金銭的な価値と
市場(特に海外市場)が認識するポジティブな価値、
つまりプレミアムの両方を意味しています。

特にグローバルに活躍する企業や外国人のステークホルダー
(顧客、従業員、株主、販売店など)が多い企業では、
プレイン・イングリッシュの使用が差別化につながると同時に、
プレイン・イングリッシュによる取り組みを決算報告関連書類の
MD&A(経営者による財政状態及び経営成績の検討と分析)
セクションやESGレポートなどでアピールすることも可能です。

実際に、弊社ではプレイン・イングリッシュの取り組みを
アピールすることをお勧めしています。海外投資家の多くは、
日本企業がグローバルな視点で経営を行っているかどうか注視しており、
市場を分析する際にプレイン・イングリッシュをキーワードとして
決算書類を参考にし、投資決定に生かすことが可能となります。

▼優秀な人材を確保できることを投資家にアピール
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「未来の従業員(特に外国人や女性)」は、
プレイン・イングリッシュを活用している日本企業を
先進的で国際競争力があると判断します。

潜在的な従業員にこのようなメッセージを送ることは、
投資家コミュニティに対しても、国籍に関係なく優れた人材を
獲得できる企業であるというメッセージにもつながります。

企業が発信するメッセージをより速く、正確に、スムーズに
ステークホルダーに理解してもらうことで、発信者が
望んでいる結果をもたらすことができる可能性も高まります。

▼社内コミュニケーションの生産性も向上
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外国人スタッフに社内向けのお知らせを送る際も、
プレイン・イングリッシュを使うことで、読んでもらえる可能性が
高くなります。

もし、何らかのアクションを起こしてほしい場合、指示通りに
行ってもらえる可能性が高まり、実行されるまでの時間も短縮されます。
人事部への問い合わせも減り、フォローの必要も減ります。
混乱も避けられるため、すべての従業員の仕事が楽になります。

日本企業の一部では、英語の公用語化を採用しています。
プレイン・イングリッシュを活用することで、日本人の社員同士
(あるいはその会社のスタッフの大多数にとっての母国語)が
効率的に内部コミュニケーションを行えることを大切にしつつ、
必要に応じて英語でのコミュニケーションを実現するという、
バランスのとれたアプローチを導入できます。

KISSの原則:複雑なシステムVSシンプルなシステム 優れたパフォーマンスを発揮するのはどちら?

KISSの原則は、1960年代に戦闘機を設計した際の教訓として生まれ、
エンジニアリングと設計の原則として認識されるようになりました。
現在では、ソフトウェア開発や教育の分野などさまざまな分野で活用
されています。プレイン・イングリッシュやIRコミュニケーションの
分野も例外ではありません。

KISSは「Keep it Simple Stupid:愚かなほどシンプルにしなさい」
の頭文字をとったもので、1960年、ロッキード社*のチーフエンジニアの
ケリー・ジョンソンが口にしたのが始まりとされています。

ジョンソンはチームメンバーに対し、何を設計するにしても
「戦場の兵士」が修理できることが大切だと説きました。
戦闘機が使用される前線では、基本的なメカニック知識とシンプルな
工具しか使えません。

シンプルで簡単に理解できる製品でなければ、戦場ではあっという間
に使えなくなり、役立たなくなるのです。

IRコミュニケーションの分野でも同じことが言えます。
「製品」(ここでは決算報告書、メモ、プレスリリースなど)が、
シンプルで誰にでも簡単に理解できるものでなければ、
ビジネスの現場(意思決定、投資、作業指示、従業員トレーニングなど)
で使用されず、役立ちません。

KISSとプレイン・イングリッシュに対するよくある誤解を解くために、
最後のS(Stupid:愚か)に当たる部分について少し説明しましょう。
Stupidは実際にStupidを意味しているわけではありません。
実際に意味することをより明確に表現するために、
KISSを「Keep it Simple and Straightforward:シンプルで
わかりやすく」あるいは「Keep it Short and Simple:
短くシンプルに」と表現する場合もあります。

プレイン・イングリッシュは、読者を下に見たコミュニケーション
であると誤解されることが多くあります。しかし、プレインであることも
シンプルであることも、Stupidであることとはまったく関係ありません。
Stupidなのは、戦場で修理できない戦闘機や、誰にも読まれない
IR資料です。シンプルな設計はレベルが低いと誤解されてしまうことが
ありますが、実際は高度な技術の象徴なのです。

KISSの原則を使って戦闘機の製品設計を行うことと、
プレイン・イングリッシュを使った文書の作成は同じです。
プレイン・イングリッシュの原則に従って文を書き文書を構成する
ことが高度な技術であることを理解していないと、
プレイン・イングリッシュがレベルの低い読者に向けたものである
ように感じてしまうのです。

来月は、さらに深く掘り下げ、プレイン・イングリッシュを使った
コミュニケーションによる価値創造について説明します。


*現在の米国の航空機・宇宙船開発製造会社である
ロッキード・マーティン社

世界有数の観光大国になるために

2020年は、プレイン・イングリッシュが試される年となります。
オリンピックの際の外国人観光客に備え、日本中が忙しく準備を
進めています。レストラン、大企業、ホテル、交通機関、小売店
などでは、外国人向けのサービスを提供するために努力しています。

これをきっかけにして、日本は観光大国になれるのでしょうか?

55年前、前回の東京オリンピックの際の日本は、今とはまったく
異なりました。しかし、外国人への対応を迫られていたのは同様です。
現在、高齢化社会となった日本では、投資、労働、レジャーなど
複数の分野において外国人を必要としています。

外国人を誘致するにあたり分野に関係なく重要なのが、
シンプルな言葉、プレイン・ランゲージ
(特にプレイン・イングリッシュ)となります。

「言葉選びや文の構成、デザインがクリアで、
読者が必要な情報を簡単に見つけることができ、
見つけた情報を理解し、その情報を使用できる。
それがプレイン・ランゲージを使ったコミュニケーションです」
国際プレイン・ランゲージ協会

このようなシンプルな英語は日本では今まで使用
されてきませんでした。翻訳の質は上がってきていますが、
目的とするオーディエンスに効果的に意図を伝えることのできる
質の高い翻訳は、他の観光国と比べ後れをとっています。

日本が、外国人旅行者にとって魅力的な訪問先であることは
間違いありません。重要になるのは、来日した外国人に質の高い
体験を提供できるかどうかです。その意味でも、
2020年のオリンピックは重要なイベントとなります。

オリンピックを目的に来た外国人による体験は、テレビ、
インターネット、ソーシャルメディアによって
全世界に伝わっていきます。これは、前回の東京オリンピック
開催時とはまったく異なる環境です。素晴らしい体験もそうでない
体験も一瞬で全世界に伝わるのです。

体験の質にはコミュニケーションの質が深く関わっています。
日本での体験を向上させるためには、コミュニケーションの質を
上げることが必要です。そのためには、
プレイン・イングリッシュが大切な役割を果たします。

日本での夏季オリンピックと時期を同じくして、
オーストラリアでプレイン・イングリッシュの国際標準が
立ち上げられます。日本が世界の人気旅行先トップ10に入り、
順位を上げていくためには、こうした国際標準を活用することが
役立ちます。

プレイン・イングリッシュに関するさらに詳しい情報は
こちらをご覧ください。
https://www.a-people.com/plainenglish/