テクノロジーで株主投票を民主化する

個人投資家も委任状投票が簡単にできる未来

昨年、資産運用会社大手のブラックロック社は、機関投資家を対象にテクノロジーを活用して委任状投票をより簡単に行えるプラットフォーム「Voting Choice」を導入しました。そして今年、英国で投資信託を行う個人投資家の一部にもVoting Choiceが提供されるようになりました。

年金基金が票を独占する時代の終わり

これまで委任状投票を利用してコーポレート・ガバナンスに積極的に関与してきたのは年金基金が中心でした。しかし、個人投資家を含むより多くの投資家がより簡単に、より効率的にコーポレート・ガバナンスに関与できるような仕組み作りに大手投資機関が取り組み始めています。Voting Choiceもその流れの一環です。

年金基金以外の株主がVoting Choiceを使って委任状投票を行うようになることで、今までより多様な考え方をもつ株主が投票するようになります。それにより、企業の経営陣は重要なガバナンス問題に対する幅広い株主の意見を知ることになります。

ブラックロック社CEO ラリー・フィンク氏は、浸透には時間がかかるとしながらも、Voting Choiceが株主民主主義の土台を強化し、ガバナンスに革命を起こすと予測しています。

不明瞭な未来にプレインランゲージで備える

これまで、IRの対象は主にファンドマネージャーや機関投資家を中心とする、金融プロフェッショナルでした。しかし、この一連の動きで、より多様な投資家層へIRの対象が変化していくことを意味します。この変化はゆっくりと、スピードを変えながら進んでいくことが予測されます。

個人投資家が好むトピックスや投票事項の傾向を予測し、具体的に対応することも一つのIR戦略です。その際、株主コミュニケーションにおいて専門用語を使わず、プレインランゲージを使うことは、オーディエンスの変化のスピードにかかわらず有効で堅実な戦略であると言えます。